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Book

『海をあげる』
(上間陽子著・筑摩書房)

沖縄県生まれの教育学者で琉球大学教授である筆者が、性暴力や基地問題など理不尽な暴力におびやかされ、言葉に表せない苦しみを抱えて沈黙し続ける沖縄の人々の想いを、研究者として、そして母として、丁寧に聞きとり記録したエッセイ集。

「ひとりで生きる」という章では恋人の少女に援助交際をさせて数千万円以上を稼いだ和樹が沖縄から上京し、ホストをして暮らしている。そんな加害者である和樹も幼少期から父親の暴力を受け続けてきた被害者でもある。

「これは沖縄だけの問題なのか?」「なぜ本土の人たちは声を上げないのか?」。米軍との摩擦、普天間飛行場移設、貧困や虐待に由来する沖縄の若い女性問題など、暴力や権力におびやかされる沖縄の日常を静かで柔らかな文体で訴えかける。「Yahoo!ニュース | 本屋大賞2021年ノンフィクション本大賞」受賞作。

2022年1月31日

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