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『疫病と人類
新しい感染症の時代をどう生きるか
(山本太郎著、朝日新書)

国際保健学、熱帯感染症学、感染症対策を専門とする、長崎大学熱帯医学研究所教授であり、アフリカやハイチなどで感染症対策に従事してきた著者は、ウイルスは「根絶」させるのではなく「共生」が重要と考える。今後もパンデミック(世界的大流行)が起きる可能性があることを前提とした社会で、「共生」の道を探るべきであると説く。

過去の感染症流行を事例に「集団免疫」、「基本再生産数と実効再生産数」、「二度なし現象」といった、感染症の基本知識を伝えるとともに、新たな感染症の発生原因についても触れる。私たちは何を守り、何を変えるべきなのか。未来の社会や自分自身を想像できることこそが、社会全体の「希望力」となって人間が生き抜く原動力になると記す。その希望力を高めるにはどうすればよいのか。これからの社会を生き抜くために必要な知識と思想が随所に散りばめられている。

2021年3月1日

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