飛躍の源泉

温泉宿泊施設再生の「秘策」とは?

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

「あるものをいかに使うか。それが大切だ」と語るのは山形県東置賜郡川西町にある第三セクター、株式会社ダリヤパークサービス代表取締役社長の片倉尚氏だ。同社が運営する温泉宿泊施設「川西町浴浴センターまどか」は、一時は赤字がかさみ、閉館までうわさされるほどだった。しかし、転機が訪れる。

「すっかり変わった感じだな」「食事がおいしいので、法事もあそこでやるところが増えている」と、利用者の評判は上々。その理由について片倉氏は「改装はしていますが、元々あるものを活用しただけです」と話す。

実は2014年10月から約半年、老朽化した設備の改装工事で休館していた。その間、片倉氏が講じた「秘策」が、従業員をここぞと思うレストランやホテルなどに連れて行くこと。「良いサービスを提供しろと言うだけでは理解できない。経験したことのないことは、理解できるわけがない」と片倉氏。自分たちが心地よいと感じたサービスを実際に提供するのは簡単なように思えて難しい。

しかし、「シェフの方がにこやかにあいさつに出てきてくれるのがうれしい」「従業員の人たちが明るくなって、こちらまで楽しい」といった施設利用者たちの感想の声が、片倉氏の「秘策」の成功を雄弁に語っている。

2016年10月3日

株式会社ダリヤパークサービス :

山形県東置賜郡川西町上小松5095-36
【川西町浴浴センターまどか HP】

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中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】

中村智彦氏