地元資源のユニークな活用
神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏
中村 智彦 氏
間伐材のユニークな活用法を軌道に乗せている「工場」がある。京都市内から車で1時間ほどの京都府京丹波町。一見どこにでもある工場だが、人工的な臭いがしない。
工場の大きな扉を開くと、中は薄く青い光と霧が立ち込め、まるで深い森の中のよう。その中からベルトコンベアに乗ってまるまるとした立派なキノコが出てくる。大粒丹波しめじと、京丹波大黒本しめじの2種類。「間伐材をオガ粉にし、プラスチック瓶に詰めて高温・高圧で殺菌して培地にし、そこに種菌を植えます。自動化された工場の中で発育させるのです。使用した培地は堆肥や家畜の敷科に使われ、プラスチック瓶も再利用。資源循環型工場です」と工場長の河合高志氏は話す。
京丹波町とタカラバイオ株式会社、そして京丹波森林組合が出資して設立した瑞穂農林株式会社。地元の資源を使い、環境に配慮し、地元の高齢者雇用にも力を入れる。「安定した生産と利益が確保できるまでに10年以上かかりました」とも。味が良く、清潔な環境で生育されたしめじは人気上昇中。京都市内の高級青果店や料理店で、高値で販売されている。大気汚染や水質悪化に影響しない植物工場としてだけではなく、地元資源の活用と連携で新しい名産品を生み出した。
2016年5月9日
瑞穂農林株式会社 :
京都府船井郡京丹波町保井谷三ッ枝38番地
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1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】