メリヤスの草履が世界へ飛翔
神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏
中村 智彦 氏
「莫大小」と書いて「メリヤス」と読む。平編みで編んだ布地、つまりニットのことだ。そのメリヤスを東京都内で70年近く作り続けているのが小髙莫大小工業である。
ニット服の袖口や襟元などの服飾資材を専門に作っていたが、小髙集氏が2005年に代表取締役に就任してから、様々な取り組みを展開。そのひとつが、メリヤス編みで作った国産ルームシューズ。青森県の布草履職人からの依頼で編み生地を譲ったことがきっかけで、布草履タイプのルームシューズを2012年から製造・販売するようになった。
ターゲットは30歳代~40歳代の働く女性。仕事を終え、自宅でくつろぐ時にちょうどいい室内履きとして販売する戦略を立てた。職人が編む太い編みひもは、吸水速乾性に優れた機能性素材を使用し、汚れれば洗える点も重視。さらに「北欧」をテーマにしたデザイン性を導入し、「MERI」と名付けた。
「MERI」は海外からの外国人観光客にも人気で、成田空港や羽田空港でも販売されており、「MERI」などの製品販売を行う別会社も設立した。そんな小髙氏の視線は海外にも向いている。下町の小さな町工場が、小さな製品をひっさげて国際市場で展開する。そんなことが実現する時代になったのだ。
2015年11月16日
小高莫大小工業株式会社 :
東京都江東区猿江1-22-15 KODAKAビル
【小高莫大小工業株式会社 HP】
- ライバルとの連携で飛躍
(2015年4月6日) - 人とつながる「縁」農活動
(2015年4月13日) - 「夢」をスタートさせるビジネス
(2015年4月20日) - 「食事の楽しさ」をデザイン
(2015年4月27日) - 事業連携の第一歩は気づきと想像力
(2015年5月4日) - 赤レンガ復元をブランドに
(2015年5月11日) - ブランド創りのカギは「やせがまん」
(2015年5月18日) - 地域から必要とされる
(2015年5月25日) - 「選択」の楽しさを提供
(2015年6月1日) - 身近な缶は、実はエコロジー商品
(2015年6月8日) - 日本の住宅産業を変える
(2015年6月15日) - 印刷業から出版の新市場を創造
(2015年6月22日) - 23区唯一の造り酒屋は大人気
(2015年6月29日) - 新規事業は足元から
(2015年7月6日) - 酒造りは良縁を醸すサービス業
(2015年7月13日) - 自前の超精密技術で、新事業展開
(2015年7月20日) - 隣接異業種への挑戦
(2015年7月27日) - がんばれ、日本の鋳物産業
(2015年8月3日) - 養豚経営のあり方を模索
(2015年8月10日) - 世界へ飛躍するデザイン力
(2015年8月17日) - 「こだわり」こそ武器
(2015年8月24日) - 自社の価値と位置を再認識
(2015年8月31日) - ママたちが「HAPPYに楽しむ」
(2015年9月7日) - 「課題解決」による顧客創造
(2015年9月14日) - 革新を続ける伝統企業
(2015年9月21日) - 中小企業が市場を創る
(2015年9月28日) - 鈴鹿から世界へ挑戦
(2015年10月5日) - 本場仕込みのヤギチーズ
(2015年10月12日) - こだわりの技術で市場を開拓
(2015年10月19日) - 100年マンションの実現を
(2015年10月26日) - 地域の資源をつなぐ
(2015年11月2日) - 挑戦を続ける最先端企業
(2015年11月9日)
1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱HP】