日本の問題

巨大都市東京の課題

青山学院大学特別招聘教授、元財務官
榊原英資氏

東京大都市圏(メガシティ=周辺も含んだ都市的集積地域)は約3,814万人の人口を抱える世界一の巨大都市圏。2位はインドのデリー約2,645万人、3位は中国の上海約2,448万人だ(国連「The World’s Cities in 2016」)。

中国は約14.1億人を抱える世界一の人口大国、インドはこれに続く13.4億人の人口を有しており、デリーや上海の人口が多いのは納得できるが、東京がそれを上回る人口を有しているということは、いかに、日本で東京への人口集中が進んでいるかを示している。日本の全人口の実に約30%が東京大都市圏に集中しているのだ。デリーにしても上海にしても全人口の2%以下だ。

しかも日本は世界有数の高齢化国。高齢化率(65歳以上人口の比率)は27.7%に達している(2017年9月15日時点の推計)。東京は全国平均より低く、港区の高齢化率は17.4%(2016年1月1日時点)と全国平均よりかなり低いが、次第に高齢化が進み、2040年には港区の高齢化率は34.3%と全国平均36.1%に迫るとの予測結果もある。高齢化は巨大都市東京にとっても大きな問題になりつつある。

2017年10月30日

過去記事一覧

榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学特別招聘教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏