日本の問題

インバウンド効果で消費に春

NTTデータ経営研究所所長・社会経済学者
斎藤 精一郎 氏

最近、聞き馴れない言葉が飛び交っている。英語の「インバウンド(inbound)」。「国内への波及効果」とか「外からの国内への影響力」という意味だ。訪日外国人の数は2013年に史上初めて1000万人の大台を越え、2014年には1300万人強に増加、政府は2020年に2000万人を目指している。

2014年の統計では、外国人の日本での消費額は2兆円強とされ、2015年はさらに増加するのが確実。2月は「二八(ニッパチ)」といわれ、8月と並んで小売業界にとって閑散月だが、2015年の2月は消費増税の駆け込み需要があった前年同月を全国百貨店売上高で1・1%上回り、一部有名百貨店では前年同月比7%増も出るほどの勢いだった。

これが「インバウンド効果」で沈滞気味の日本の消費市場をにぎわせている新現象だ。今後も訪日客の増加が見込まれるが、問題が2点。ひとつは東京・富士箱根・名古屋・京都・大阪のゴールデンルートに集中していること、もうひとつは「おもてなし」は良いが、全国どこでも画一的な物品やサービスが過剰にならないかだ。

2015年5月11日

過去記事一覧

1940年生まれ。社会経済学者・エコノミスト。
1963年日本銀行入行。1972年立教大学社会学部講師に転身し、助教授を経て1980年教授。テレビの経済情報番組でコメンテーターも務める。現在はNTTデータ経営研究所(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所)所長。
【NTTデータ経営研究所HP】

斎藤 精一郎氏